固い内容が続いているので、この章は少し気楽な内容で息抜きしよう。
WinPEにはWindows用のアプリケーションを追加することができる。
ただし、なんでも追加できるわけではない。たとえばレジストリやサービスを使うようなソフトは、不可能ではないかもしれないが難しい。MS-IMEを追加するためのIME.CMDでやっていたことを思い出してもらえば、難易度の高さがわかるだろう。
しかし、現在はUSBメモリの普及などにより、USBメモリで手軽に持ち運べることを売りにしているアプリケーションも非常に多くなってきている。ブラウザとかメーラーを持ち運んで、自分の気に入ったものをいつでもどこでも使いたいという需要が高いからだと思う。
持ち運べるタイプのアプリケーションならばどれでもOKというわけでは勿論ないが、このページではFirefox Portableを例にして、導入の方法を説明していこう。
1.Firefoxはいまや大人気のブラウザだが、ポータブル版も配布されている。
上のリンク先から日本語版をダウンロードして保存しておく。
2.第5章のバッチファイルをテキストエディタで開く。WinPE2の場合ならばWinPE2.CMDを、以下のようにpauseという1行を挿入して上書き保存する。
setlocal |
WinPE3ならばDISM.CMDを、以下のようにpauseいう行を1行挿入して上書き保存する。
setlocal |
3.第5章のとおりにバッチファイルを実行する。バッチファイルの実行途中で「続行するには何かキーを押してください…」と出るはずだ。先程挿入したpauseのところで一時停止して待機している状態である。ここではまだキーを押さずにそのまま放置しておく。
4.ここでダウンロードしておいたFirefox Portableのインストーラを実行する。インストーラといっても自己解凍ファイルみたいなものだ。ウイザードが始まったら、途中のインストール先選択画面において、下図の手順でmount\windowsフォルダを指定する。(下図の例はバッチファイルをC:\testに置いて実行した場合の例である)
5.Firefox Portableのインストールウイザードを最後まで完了する。
6.その後、再び一時停止中のコマンドプロンプトに戻り、何かキーを押す。停止していた一連の処理が再開されるはずだ。終了したらコマンドプロンプトを閉じる。
7.第5章と同様、できあがったisoファイルをCD-Rに焼けば完成。
マウント中に、マウント先のフォルダに必要なファイルを書き込み、アンマウントしてwimファイルに変更を反映させているという理屈を理解いただけただろうか。このように、ファイルさえ揃っていれば動作するアプリケーションの場合は、Windows上と同じように動かすことができる。
WinPEで、追加したアプリケーションを起動するには、シェルであるコマンドプロンプトから、実行ファイルを呼び出す。X:\windows\system32 > と表示されてプロンプトが点滅している状態から、以下のように打ち込む。
X:\windows\firefoxportable\firefoxportable.exe
すると以下のように、Firefox portableが起動する。
なお、ブラウザがインターネットに繋がるかどうかは環境による。有線LANでブロードバンドルーターに繋がっており、LANの機器も標準的なWindowsのドライバで動くような場合には、何の苦労もなくブラウジングできてしまう。無線LANなどの場合は、イーサネットコンバータ以外であると、ドライバをWinPEに組み込むなどのスキルが必要で、かなり上級者でないと難しいだろう。
なお、アプリケーションを追加すると、その分boot.wimは大きくなり、RAMディスクも大きくなる。すなわち、メモリを食うということだ。おもしろがって何でもかんでも追加すると、搭載メモリの豊富なPCでしか使えないWinPEになってしまうので、その辺の見極めが大切である。