第2章 作製環境

WinPEのバージョン

2009年6月現在、Webから一般的に入手できる、Windows AIKは以下の3種類である。

 バージョン キット名称   サポートする作成環境
 2.0  Windows 自動インストール キット (AIK) ・Windows XP SP2 (KB926044 適用済み)
・Windows Server 2003 SP1 (KB926044 適用済み)
・Windows Server 2003 SP2
・Windows Vista ファミリ
 2.1  Windows Vista SP1 および Windows Server 2008 用の自動インストール キット (AIK) ・Windows Vista
・Windows Vista SP1
・Windows Server 2008
・Windows Server 2003 SP1(KB926044 適用済み)
・Windows Server 2003 SP2
・Windows XP SP2(KB926044 適用済み)
 3.0  Windows 7 用の Windows 自動インストール キット (AIK) ・Windows Server 2003 SP2
・Windows Vista SP1
・Windows Server 2008 ファミリ
・Windows 7 ファミリ
・Windows Server 2008 R2 ファミリ

普通ならば新しいほうが良いと考えるから、最新のサービスパックを当ててある前提で、「7やVistaならば3.0で、XPならば2.1」と言いたいところだが、細かい問題点がある。

たとえば上の表にあるKB926044であるが、MSの公式見解によると、これを適応させていないXPないしServer2003でVista以降のレジストリを修正しようとすると、かえって壊してしまうという恐ろしい問題を抱えているようだ。そのうえKB926044はわざわざMSにリクエストしないと入手できないようである。SP3では修正されているようなので、XP上で直接WinPEを作製する場合には必ずSP3を当てておくべきだ。

当サイトでの推奨作製環境

それとともに、このサイトでは日本語入力システムを導入する方法を紹介するのだが、これに関する技術資料がMS-IME10のものしか見つからない。MS-IMEのバージョンは、XPではVer.8.1で、Ofiice2003をインストールしてあるとVer.9.0ということだ。Ver.10はVista/Server2008/7で導入されている。つまりXPでは日本語入力可能なWinPEを作る方法が難しい。

また当方でテストしたところ、VistaでWinPE3.0を使ってIMEを導入すると起動時にエラーが出るようだ。私のやり方がマズイのかもしれないが、自分が上手く言っていない方法を紹介するわけには行かない。

ということで、このサイトでは、全てを網羅しようとするととてもカバーしきれないので、次のような方針とした。

 あなたのOSの種類  使用するWinAIKの種類  作製方法
 XP(SP3推奨)  Vista SP1/2008用(2.1)  VirtualPC2007に2008試用版をインストールして、その上で作製
 Vista(SP1以降)  Vista SP1/2008用(2.1)  XPと同じ方法 ないし そのままOS上で作製 
 7  7用(3.0)  そのままOS上で作製

この中で気をつけて欲しいのが作製環境がXPの場合だ。VirtualPCをインストールしなければならないし、2008試用版を入手してこなければならない。どちらも無料で入手できるものだが、少々わずらわしい。どうしても入れたくない人のために、章を設けてXPや2000で直接作る方法も紹介するが、できれば推奨作成環境を整えて欲しい。(なおVirtualPCの中のserver2008で作るわけなので、前述のKB926044に関する問題は直接関係してこない。)

ダウンロードリンク

Microsoft Virtual PC 2007 SP1

Window Server 2008 評価版

なおVirtualPCではなく、VMWareやVirtualBoxなどの他の仮想PCソフトをお持ちの方は、それでかまわない。むしろUSBデバイスが認識できる分、あとで有利かもしれない。

2008評価版は60日間試用期間限定で、最大240日まで延長可能だ。サーバーOSというとなじみのない方が多いと思うが、使ってみると意外と面白い発見があると思う。またデスクトップOSとして使うためのWikiを参考にすると、ぐっと使いやすくなると思う。なおダウンロードするためには、ID登録やアンケートに答える必要がある。せっかくの評価版なのだから、今回のWinPE作製に限らず、徹底的に使い倒して評価してやればよい。

 Server2008評価版を選んだのは、日本語版のOSで、なおかつ無料配布期間が長いことが理由である。いまだにServer2003さえもダウンロードが可能である。2008R2にしなかったのは64bit版のみしか用意されていないからである。日本語版にこだわらなければ、VistaのIE評価版などはVHD形式だから、解凍後インストール作業無しで即座にVirtualPCで作業ができるが、日本語IMEの導入には使えない。

VirtualPC 2007 のインストール

推奨とか言っておきながら、このサイトではVirtualPC2007のインストール方法、及びそのVirtualPC2007にServer2008をインストールする方法などについては割愛する。Web上でいくらでも情報が得られるだろう。

またXP Homeエディション、VistaのHome Premium以下のエディションに関しては、インストール途中でサポート対象外である警告が出るが、無視して通常通りインストールすることができる。公式サポート対象外というだけで、動作はするようだ。

仮想PCを使うメリットは、完成させたWinPEのISOファイルをすぐにキャプチャして起動実験ができることだ。CDにいちいち焼いて、(ホスト)PC本体を再起動させて実験する場合の100分の1の時間で実験ができるだろう。上の推奨作製環境ではXPのみVirtualPCを使っているが、Vistaや7でも、仮想PCを使える環境に整えておいた方が良い。

ブータブルCDの実験をするには、どのみち仮想PCソフトを導入しなければ、効率が悪くてしょうがないのである。

Windows AIKのインストール (VirtualPC上のServer2008場合)

それでは、Windows XPにおいて、VirtualPC2007にWindows Server2008評価版をインストールしてあるところまで準備が完了しているものとして話を進める。

1.VirtualPCのメニューから「ISOイメージのキャプチャ(I)...」を選ぶ。

ISOイメージのキャプチャ

 「ISOイメージのキャプチャ」によって、ゲストOSのなかで仮想CDソフトを実行したのと同じ効果を得ることができる。仮想CDソフトをインストールしていない方にとっては、わざわざ仮想CDソフトをインストールしなくても良いという事も、仮想PCソフトを使うメリットの一つとなる。

2.ダウンロードしておいた、Windows Vista SP1 および Windows Server 2008 用の自動インストール キット (AIK)のISOファイルを開く

WinAIKのISOファイルを開く

3.すると自動的に下のようなダイアログが出る。(出なければ、マイコンピュータ→CDドライブをダブルクリック) 「StartCD.exeの実行」を選ぶ。

自動再生

4.Vista以降のOSを使ったことのない方には新鮮な驚きを与え、Vista以降のユーザーには「またかよ…」とタメ息を齎す、これが噂のユーザーアカウント制御(UAC)だ。「続行(C)」をクリック。

UAC

 今回、私の場合は管理者権限のある別ユーザーを作ってログオンしているので、このような確認が出るが、特別な手順を踏んで別ユーザーを作らなければ、administratorでログオンしていると思う。その場合は、このダイアログは出ない

5.Windows AIKの初期画面が出るので、「Windows AIK セットアップ」を選ぶ。.NETとかMSXML6.0は選ばなくてもServer2008では初期状態で導入済みである。

Windows AIK セットアップ

 通常のXPであると、初期状態ではMSXML6.0とか、.NETはインストールされていないので、例えば以下のようなメッセージが表示される。
MSXML未導入エラー
Server2008ならば標準搭載なので大丈夫だ。メインで使うOSに余分なものをインストールしたくないという方は多いと思うので、VirtualPCならばホストOSの環境を汚さないという面でもメリットがある。

6.あとはウィザードに従って、Windows AIKをインストールする。無事インストールが終わったら、上のウインドウは閉じてよいし、キャプチャしたISOは開放して良い。

以上でWindows AIKがインストールできた。このプログラムを使用して、WinPEを作るのだ。

Windows AIKのインストール (OSに直接インストールする場合)

基本的には何も代わらない。Windows AIKのインストール用ファイルがisoなので、Daemon Toolsのような仮想DVDソフトでマウントするか、7-Zipのような解凍ソフトで全て展開しておいてからStartCD.exeを実行するか、isoをDVD-Rに焼いてしまうかなど、お好きな方法でインストールウィザードを開始すれば良い。

なお、.NET2.0以降、MSXML6.0がインストールされていない環境では、それらを導入する必要がある。


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