基本的なWinPEを作製する

Windows 2008 Server 2008 評価版の準備

前頁でダウンロードしてもらったWindows Server 2008 評価版のISOファイルを、実際に使えるように準備しよう。次のAあるいはBのどちらかお好きなやり方でどうぞ。

A. 仮想CDソフトをインストールしてある場合

この場合は、ISOファイルをマウントすれば良い。

下の図は、【Alcohol 52% Free版】でマウントしている所である。この例では、IドライブにWin2008のインストールDVDが装填されている状態を仮想的に再現する。

仮想CDソフトでマウント

B. DVD-Rに実際にライティングして使用する場合

仮想CDソフトを使っていない場合は、ダウンロードしたISOファイルを実際にDVD-Rに焼いてしまおう。ISOファイルの焼き方を知らない人は、Googleなどで調べて、やり方をマスターすることが必要である。「焼き終えたDVD-RをExplorerで確認したらISOファイルがそのまま1つポツンとあっただけだった」などというのは、初心者がやりがちなミスである。

下の図は、【ImgBurn】 というソフトでISO焼きしている所である。

ImgBurnでISO焼き

別にライティングに使うソフトは何でもかまわない。普通のメーカー製パソコンによくプレインストールされている、【B's Recorder Gold】とか【Nero】とかにもISO焼き機能はあるので、ヘルプなどで調べてみればよい。また、Microsoftのお薦めの方法にもリンクしておこう。またこの後述べるWinBuilderのDownload Centerでの操作終了後には、Projects\Toolsフォルダの中にIso-Burner.exeが生成される。これはActive@ISO Burnerというライティングソフトの実行ファイルだ。これを直接実行しても良いし、WinBuilderのメイン画面でFinalizeのCreate ISO/CD/USB画面からBurn Current ISOボタンでも呼び出せる。

焼き終えたDVD-Rを装填したドライブをExplorerで確認すると、以下のようにファイルやフォルダが構成されているはずである。ISOファイルというのはイメージファイルであるので、きちんとイメージ焼きすれば、このようになるのである。

完成DVD-RをExplorerで確認

*重要
仮想CDにしろ、実DVD-Rにしろ、オートラン機能が有効になっていると、下図のようなWin2008のインストール画面が表示される。このままインストールへ移行すると現在の作製環境を破壊してしまう。今回はインストールするわけではないので、必ずキャンセルしておこう。

WinBuilderの準備

前頁でダウンロードしたWinBuilder.exeを実行すると、同じディレクトリのなかにプロジェクト関係のファイルが多数生成されるので、あらかじめ単独で専用フォルダに入れておくのが、あとで乱雑にならずに済むコツだ。

また、日本語パス・深いパス・空白文字を含んだパスはビルド時のエラーの原因になりやすいので避ける。

ここはぜひ、ドライブのルートにWinBuilderというフォルダを作ることを強く推奨しておく。

(以後、このコーナーの説明例では、H:\WinBuiderにWinBuilder.exeを置いているものとする。またWin2008評価版DVDはIドライブになっているものとする。各自の環境に合わせて読み替えること。)

WinBuilderの使用方法

1.WinBuilder.exeをダブルクリックして起動する。

WinBuilder.exeをダブルクリック

2.WinBuilderを初回起動すると、下図のようなDownload Center画面が表示される。先ず最初に必要なファイルをダウンロードして入手する必要があるからだ。ダウンロードされたファイル類は、WinBuilderと同じディレクトリにProjectsというフォルダが作られ、そのなかに分類・配置される。

WinBuilder初期画面

一旦作られたProjectsフォルダをあえて削除してからWinBuilderを起動すると、初回起動でなくてもDownload Center画面になる。気分一新してあらたにWinPEを作り直したい時には、WinBuilder.exe以外のファイル・フォルダを全て削除してしまうのもひとつの方法である。

それでは具体的な操作方法を説明していこう。

まず右下部分(上図で赤線で囲んだ部分)のダウンロードサーバーを変更する。1列目のupdates.boot-land.netのみにチェックが入っていると思う。

1番上チェック状態

そのチェックを外す。(右端のアイコンがまだグレーアウトしていることに注目)

ノーチェック状態

とりあえず2列目にチェックを入れる。(右端アイコンのグレーアウトが解除される)

2列目チェック状態

再びチェックを外し、無選択状態にする。(右端のアイコンは有効のまま)

ノーチェックかつアイコン有効状態

下図の赤く囲ったアイコンをクリックする。

サーバー追加ボタン

すると下図のようなダイアログが表示されるので、半角アルファベットでvistape.net/projectと書き込んで「OK」をクリックする。

今書き込んだサーバー名が項目として追加され、チェックも自動的に付いたと思う。左側の表示も変わるので、下図のようにMinimumに変更する。

Minimumに変更

あまりに選択項目が多いので、Minimum/Recommended/Complete/Beta すなわち日本語に訳すと 最小/推奨/完全/ベータ版 の基準となる4つのプリセットがあらかじめ用意されているのだ。このコーナーでは"最小"を選択しているが、ある程度慣れたら他の選択肢も試してみれば良い

3.さらにMinimumを基準に、独自にチェックを付けたり消したりする。以下の4項目を変更しよう。

チェックON/OFF スクリプト名 場所
OFF→ON dll.script Addons
OFF→ON JapaneseIMEv.script Addons
OFF→ON CubicExplorer.script App\File Tools
ON→OFF 11-grub4dos.script Base

参考に全項目のツリーを展開したときの図を示しておく。

全項目の選択状態図

Windowsの基本操作だから知らない人はいないと思うけれど、上図のようにツリーを開くには、行頭の[+]マークをクリックして[-]マークに変えてやれば良い。

4.上図のように設定が済んだら、Download Center画面の左下の、Downloadボタンを押す。

Download

5.するとサーバーにつながり、必要なファイルのダウンロードが始まる。

このとき順調にダウンロードが行われれば良いが、ファイルによってはダウンロードに失敗するときがある。運が悪いと、3つも4つもダウンロードに失敗する時もある。

ダウンロード失敗ダイアログ

上のようなメッセージボックスが出たら、とりあえずファイル名を筆記用具でメモに控えておく。サーバーのキャパシティの問題のようで、実際にサーバー上からファイルが無くなっているわけではない。つまり、あとで再度やり直せばダウンロードできるということだ。

6.一連のダウンロードが終了すると、WinBuilderの画面がメイン画面に変わる。このときダウンロード中に1回でも上記のダウンロードエラーメッセージが出ていた場合には、再びDownload Center画面に戻って、ダウンロードをやり直す必要がある。右上のDownloadアイコンをクリックしよう。一度もエラーが出なかった時には、そのまま手順8へ進もう。

WinBuilderメイン画面

7.再びDownload Center画面に戻るので、メモしておいたダウンロードエラーの出たファイルのみにチェックをつける。複数回エラーが出た場合は、そのファイルに関してすべてチェックをつける。

実はエラーが出たファイルには自動的にチェックが入っているはずだ。むしろ基準のMinimumから自分でチェックをはずしたファイルに、しつこくチェックが付け直されていると思う。(今回の場合は11-grub4dos.script) それらは再びチェックをはずして、あくまでもエラーメッセージが出てメモに控えておいたファイルのみをチェックするのだ。

設定が済んだら、左下のDownloadボタンを押す。

再ダウンロード

8.ダウンロードが終了すると再度メイン画面になる。ここでは下図のように設定をする。

  1. 自分で追加したCommon DLLとJapanese IME for VistaPEにはチェックが入っていないと思うので、チェックを入れる。要するに左のツリーは全チェック状態にしておく。
  2. Main Configurationの文字部分をクリック。右半分の表示が変わるはずだ。
  3. "Standard in RAM" …にチェックを付け替える。
  4. Screen resolutionは、実際のVistaPEを作動させるモニタの解像度を考慮し、適切な候補を選んでおく。(ただしVistaPE起動中に設定変更もできる。)
  5. Saveボタンを押す。

各種設定

ここで本来はビルド操作に進めば良いのだが、ダウンロードしたスクリプトファイルに記述ミスがあるため、このままではエラーでビルドできない。ビルド前に修正しておかなければならないので、一旦右上の×ボタンを押してWinBuilderを終了しておこう。

9.ExplorerでWinBuilder\Projects\Vista-PE-Core\Baseを開いてみると、下のようなファイル群が確認できると思う。このうち4つのファイルを修正する必要がある。

2つのバグファイル

また、WinBuilder\Projects\Vista-PE-Core\Addonsフォルダにあるdll.scriptもエラーがあるので修正しておこう。

当方で、ビルド時のエラーや警告が出ないように修正したスクリプトファイルを用意した。

修正用スクリプトファイル

上のリンクからダウンロードしたzipファイルを展開して出てくるファイルで、上の同名ファイルをすべて置き換えてしまおう。(合計2つのフォルダで5つのファイル)

10.再びWinBuilder.exeを起動する。先程設定した状態のままになっていることを確認して、さらに下図のように設定をする。

  1. Sourceボタンを押す
  2. 参照ボタンを押して、Win2008インストールDVDのドライブ名を指定する。正しいドライブ名がリストボックスに入力されたことを確認しよう。(解説図の例ではI:\。各自の作製環境に合わせて設定する。)
  3. Playボタンを押して、ビルドを開始する。

ドライブを指定してビルド開始

11.しばらく実行進行画面が流れ、全てエラーなく終了すると以下のようなメッセージがでる。(スペルミスだねw)

Sucessful

12.WinBuilderフォルダの中にISOというサブフォルダができており、その中にVistaPE-Core.isoというファイルが生成されている。これがWinPEのISOファイルである。これをCD-RやDVD-RにISO焼きすればWinPEの完成だ。

念のために書いておくが、完成したCD-RやDVD-Rでシステムを起動するときは、BIOSのboot sequence設定で、CDドライブをHDDよりも上位に持ってきておかねばならない。またWinPEは搭載メモリへの要求度が高いので、512MB以上のメモリが積まれているPCでないと起動しないかもしれない。

下図はこのページで作ったVistaPE-Core.isoを起動したときの画面である。タスクバーはBS Explorer、ファイラーはCubicExplorerが使われている。ご覧のようにMS-IME言語バーも正常に起動しており、日本語入力も問題ない。標準的なWinPEの場合には、コマンドプロンプトがシェルだったり、Wpeutil shutdownと打たないと終了できないなどと言うようなマニアックな面があるが、こちらは一般的なWindowsに近い操作感だ。

VistaPE画面

しかし、「シェルはやはりExplorerでないと駄目」とか、「Internet Explorerが使えないなんて」と考える人もいるだろう。それに関しては次章で。


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