TestDisk 非公式ヘルプ

パーティションテーブルの損傷やブートセクタの損傷を復旧するソフトとして、永らくTestDiskを私のサイトで紹介してきた。はじめてTestDiskを紹介した頃は、TestDiskの日本での知名度はほとんどなく、日本語での解説も全然なかった。

最近では雑誌にも取り上げられたり、私のところよりもステキな解説サイトが登場してきたりして、このソフトが多くの人に使われるようになってきたことは、大変嬉しいことである。

TestDiskはHDDの根源的なところにアプローチすることが出来るソフトなので、パーティションテーブルやブートセクタなどの起動の仕組みを理解せずに使うことはきわめて危険である。そのため、TestDiskのメニューで、[Analyse]と「Advanced]以外は触らないほうが良いなどと書いた。知識の不十分な人がその辺をまちがえていじくりまわして、更なる深みにはまり込むことを防ぎたかったからである。

しかし今となっては、「初心者にとって危険だと言うような理由で、有益な情報の発信を制限するのはいかがなものか。」と考え直すようになった。

それと掲示板などの書き込みを読むと、最低限[Geometry]の設定には触れたほうが良いのではないかと考えるようになった。Geometryが間違って認識されるトラブルケースと言うのは意外と多いようで、なおかつこれを正しく設定しておかないと、TestDiskは正常に機能しないのである。

もう1つの変化はWindows Vistaの登場である。なんとパーティションの境界はシリンダ境界という鉄則をVistaは撤廃してきた。多分Windows7もそれを引き継いでいくのだと思う。シリンダ/ヘッダ/セクタという現実にはそぐわないが過去の機種との互換性を保つために守り続けてきた概念を捨て、メガバイト単位(正確さを期せばメビバイトと言うべきなのだが、浸透しているとは思えないのでこのサイトでは一貫してメガバイト・ギガバイトと表現している)で区切るという仕組みに切り替えたのだ。TestDiskも最近のバージョンではVistaで作った領域かどうかを聞いてくるようになっている。これについても多少触れておく必要がある。

そんなこんなの状況が重なり、解説ページを書き直したいという欲求がでてきた。しかし従来の解説ページで取り上げたHDDの分析結果は、TestDiskを初めて使おうという方のテキストとしてきわめて絶妙な症例で、これはこれで皆さんの役に立つものだと思う。これを完全にひっこめてしまうのも気が引ける。

ということで色々考えた結果、公式サイトにある英語のドキュメントを意訳しながら適宜解説をちりばめるというページを新たに設けることにした。正確に訳すということは私の英語力ではとても期待できないので、なるべくわかりやすくということに重点を置いた。公式の記述のみでは不足しているなと感じた部分は、ピンク色の四角に囲んで補足解説を挿入した。それと基本的にWindowsユーザー向けだけに訳していて、関係ない部分は省いている。それから公式サイトの全部のドキュメントを訳す必要性を感じなかったので、皆さんの役に立ちそうな項目だけを選んだ。

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