Reloを使ってみる
前ページまで、秀丸マクロを使って、WisdomSoftさんのコードをビルドしてきましたが、一つだけパスした章がありました。
C言語入門 記憶クラスの章の「複数のファイルをコンパイルする」の項です。これは、2つのCソースファイルからなる為、単独のCソースファイルのみを対象にした私のマクロでは、コンパイルできませんでした。
この例では、それぞれ別々にコンパイルして、できたobjファイルを2つリンクすれば良いだけなのですが、一般にファイルが多く分割されるほど、ややこしくなります。そうすると、MakeFileを覚えるか、統合開発環境(IDE)を使うかということになるかと思います。そうしないと、一つのファイルを変更するたびに、すべてリビルドしなおすような効率の悪さを味わうことになります。
このページでは、比較的初心者向きの、Reloを紹介します。英語ですが、中学英語がわかれば何とか使えそうです。また、ダイアログエディタなどは、かなり使いやすそうです。
Reloは、標準でBCCに対応していますが、複数のコンパイラを併用して使うことができます。天邪鬼な私は、これをVC++ Toolkit 2003 で使ってみたいと思います。Visual C++ Toolkit の環境構築が済んでいることが必須条件です。秀丸マクロの方の設定はしていなくてもかまいません。
1.Visual C++ Toolkit 2003 向け設定
- ダウンロード・インストールは、公式サイトからダウンロードしてきて、実行するだけです。英語ですが、特に難しくはないと思います。ただし、最後の
Launch Relo のチェックははずして、Finishしてください。
- 設定用ファイルをダウンロードしてください。なお、いつものとおり標準状態で
VC Toolkit・Platform SDKをインストールしたパスにあわせてあります。違う場所にインストールした人は、このファイルをご自分で書き換えてください。
vctool.ini
- vctool.ini を Reloをインストールしたフォルダの中にあるconfigフォルダ内のcompilersフォルダ内に移動してください。そこには最初から digitalmars.ini・msvc.ini・msvc7.ini
などがあると思います。
- Reloを起動します。以下のダイアログが出ると思います。出なければ、メニューの
Tools | Compilers から下図のように設定してください。
TypeはドロップダウンメニューからVisual C++ toolkit 2003 を選んでください。
PathはC:\Program Files\Microsoft Visual C++ Toolkit 2003\bin を指定します。
Nameは、自分が分かりやすい名前ならば何でもOKです。
- [Close]ボタンで、確定して閉じます。
- この設定は、メニューの Tools | Compilers から何度でもやり直せます。BCCとVCを両方登録して、交互に使うなどということも可能です。
- 日本語が文字化けしないように、ReloのメニューのTools | Options | StyleタブのFontをMSゴシックに変えておきましょう。
- View | Compiler Output を使って、アウトプット窓を表示させておきましょう。
2.更なる設定
このままでは、rc.exeとrcdll.dllとcvtres.exeへのパスが不十分です。それぞれC:\Program Files\Microsoft Platform SDK\BinとC:\WINDOWS\Microsoft.NET\Framework\v2.0.50727からC:\Program Files\Microsoft Visual C++ Toolkit 2003\binへコピーしてください。
3.使ってみよう
それでは宿題だった、C言語入門 記憶クラス「複数のファイルをコンパイルする」を例に、実際にReloを使ってみましょう。
- ツールバーの[New] をクリックします。

- 表示されたダイアログでコンソールアプリケーションを選び、[Next>>]をクリック。

- ラジオボタンをCに、Blank Filesにチェックし、Project1.cに×印をつけるように変更して、[Create]
ボタンをクリックします。

- Newの横の下向き三角をクリックします。

- ドロップダウンメニューから [C] を選びます。この操作により新規にuntitled1.cというファイルとタブができます。

- WisdomSoftのサンプルで、1つめのコードをコピーします。

- untitled1.c タブページにペーストします。

- 再び、下向き三角をクリック。

- 前回同様 [C] をクリックします。untitled2.cができます。

- WisdomSoftのサンプルで、2つめのコードをコピーします。

- untitled2.c タブページにペーストします。

- ツールバーの[Build] をクリックします。

- ダイアログが表示され、成功すればSuccessと出ます。[OK] ボタンをクリックします。

- コンソールアプリの場合は、ツールバーの[Run]では、すぐに閉じてしまって確認できないので、コマンドプロンプトを呼び出します。

- プロジェクト名の実行ファイルができるので、今の場合、project1と打ち込んで[Enter]
キーを押します。すると、結果が確認できます。

- 最後に、Save Allでプロジェクトごと保存します。
4.その他
配布したvctool.iniは、DLLの作成もできます。
Reloには簡単なコード補完機能もあります。関数を書いて"("を書くと、引数が表示されます。また、GNUメイクファイルの作成機能もあります。ダイアログエディタが直感的に使えるのも前に書いたとおりです。(文字化けするものの、完成品は文字化けしません。) もちろん、ひな型の作成機能もあります。
それから、メニューの Window | Compiler Output View を Raw Output View にしておくと、実際に何が行われているのかがわかって、勉強になると思います。
デバック・リリース版の作成機能の省略などで、むしろ初心者がプロジェクト単位で管理する最初のIDEとして、とっつきやすいものになっていると思います。WisdomSoftさんで研鑽した方であれば、予備知識なしでいじくり回しているうちに、ReloくらいのIDEは十分使いこなせると思います。前ページまでの秀丸マクロと違う点は、プロジェクトで管理するという概念だけです。
さてここまでくると、次はやっぱり Visual C++ ということになるんでしょうか。
次のページでは、Visual C++ 2005 Express を取り上げます。
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