このページでは、フロッピーディスクドライブを持たないパソコンのために、CD-R版の緊急起動ディスク作成方法を記載します。
フロッピーディスク版の緊急起動ディスクの作成に比べ、CD-R版の作成は多少ややこしくなります。例の4〜5個のブートファイル群を単にCD-Rに焼き付けただけでは起動ディスクにならないのです。ブータブルCDにするために若干の手順を踏む必要があります。
おおまかな流れ
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なお前の章でも書きましたが、フロッピーディスクでブートできるパソコンをお使いの方は、CD-R版を作成する必要はありません。
また、最初は試行錯誤して焼くことになると思うので、やり直しがきくCD-RWをお使いになることをお勧めします。
【WinImage】を使った別法もあります。そちらのほうが、多少簡単です。
緊急起動ディスクを作成する過程においてはCD-R版であろうとフロッピーディスクドライブが必要です。しかし物理的なフロッピーディスクが無いわけなので、代わりに仮想フロッピードライブを使います。仮想フロッピードライブと言われてもピンとこない方も多いと思うので簡単に説明しておきます。まずハードディスクあるいはメモリ上に1.44MBの領域を作ります。このサイズは現在主流の3.5インチフロッピーディスクと同じサイズです。この領域は紛れも無くハードディスクあるいはメモリ上に存在する物ですが、これをあたかもフロッピーディスクドライブに装填されたフロッピーディスクのように扱います。OSを騙してフロッピーのように見せかけていると考えれば理解しやすいでしょう。そのOSを騙すために用いる仮想フロッピードライブ作成ソフトが【Virtual Floppy Drive】です。
まず、VMwareの背中さんのサイトに行って、【Virtual Floppy Drive】の最新版(v2.1)をダウンロードしてきます。zipファイルでの提供なので解凍して、お好きな場所に保存しておきます。私は D:Program
Files\vfd に保存しました。次にプログラム本体のvfdwin.exeを実行します。初めて起動すると下の画面になります。
まずドライバをインストールするところから始めます。開始種別の「自動」は今後OS起動の度にいつもこのドライバを常駐させたい場合の選択なので、「手動」にしておいて、仮想FDが必要なときに、このソフトを起動させるのが一般的な使い方だと思います。【インストール】をクリックすると、ごく簡単にドライバのインストールが済みます。この作業は初めて起動したときのみの作業です。ちなみに、このソフトが完全に不要になった時には【アンインストール】をクリックするとアンインストールされます。詳しくは添付のドキュメントを参照してください。
仮想FDを作動させるために【開始】をクリックします。開始という操作は、OSに仮想FDを認識させる操作です。
【Virtual Floppy Drive】は2つまで仮想FDを作れます。今回は1つで充分なので【ドライブ0】タブを開き、ドライブ文字を割り当てるために、【変更...】をクリックします。
ドロップダウンメニューから、お好きな文字を選びます。私のPCには物理的にフロッピードライブが付いているのでAがありませんが、FDレスPCではAも選べるはずです。
【OK】をクリックして確定します。
さて、ここまでの操作でOSに仮想FDを認識させましたが、このままではフロッピードライブにフロッピーディスクが装填されていない状態に相当します。そこでフロッピーディスクの役目を果たすイメージを作っていきます。【開く...】をクリックします。
すると次のダイアログが出ます。 空欄のまま【OK】するとメモリ上にRAMディスクを作ります。【作成...】をクリックしてください。(メディア種別は 3.5"1.44MB を選択しておいてください。)
ここでWindowsのマイコンピュータを見てみましょう。先程指定したドライブ名の新しいアイコンが出来ているはずです。これが仮想FDです。ところで前のページでも書きましたが、今回製作する緊急起動ディスクは、XP/2000でフォーマットしたフロッピーディスクであることが絶対条件です。当該アイコンを右クリックしてコンテキストメニューから【フォーマット...】を選んでください。
おなじみのフロッピーディスクのフォーマット画面が出るので【開始】をクリックします。物理的なFDと違って数秒でフォーマットが終わります。以上で、仮想FDの準備ができました。
(なお、フォーマット操作は【Virtual Floppy Drive】の画面上からも可能です。) |
FD版の緊急起動ディスク作成の方法と同様に、Cドライブのルートにあるntldr/boot.ini/ntdetect.com/bootfont.bin/(bootsect.dos)を、仮想FDドライブにコピーします。
その後RAMドライブ(つまりメモリ上)にある緊急起動ディスクフロッピーイメージを、ファイルとして保存する作業に入ります。【保存...】をクリック。
下のようなダイアログが出ます。【参照...】をクリックしておなじみのセーブダイアログを出し、場所・ファイル名をつけて、その後【保存】します。この例では、Dドライブのvfdという名前のフォルダに、fd.bin というファイル名で保存しました。拡張子はbin にしておくのが無難です。
ここまでの操作で、緊急起動ディスクのフロッピーディスクイメージファイルを作成することができました。役目の終わった【Virtual Floppy
Drive】を終了しておきましょう。次の図のように操作してください。
【ドライブ0】タブで【閉じる】をクリックします。
【ドライバ】タブで【停止】をクリック。これで仮想FDがOS上からなくなります。あとは右上の×印をクリックしてVFDコントロールパネルを閉じてください。もちろんフロッピーイメージファイル(今の場合fd.bin)はHDD上に残っています。
完成したフロッピーイメージファイルからブータブルCDイメージを作成するために、【fdtoiso_GUI】というソフトを使います。とある小さなメモ用紙の野望さんのサイトの起動FDイメージをISOイメージに変換するプログラムのページから、fdtoiso_gui.lzhをダウンロードしてきます。
解凍して出てきたfdtoiso.exeを実行すると、次のようなウインドウが開きます。先程完成させたフロッピーイメージファイル(fd.bin)をドラッグ&ドロップします。
ファイル名とパスが正しく表示されたはずです。【ISOイメージ作成画面へ】ボタンをクリック。すると、おなじみのダイアログが開くので、保存先・ファイル名を設定します。
設定後に下の画面になります。記載内容を確認して、【実行!】ボタンをクリックします。
作業が流れ、完了した旨の高尚な(笑)メッセージが表示されたら【閉じる】ボタンをクリック。
最初のウインドウに戻るので【終了】します。
これで、ブータブルCDイメージである、ISOファイルが完成しました。
出来上がったISOファイルを、お手持ちのCD-RライティングソフトとCD-Rドライブで、CD-R(W)に焼いてください。ISOファイルの焼き方は、各々のライティングソフトのマニュアルをご覧下さい。市販のソフトはもちろん、フリーソフトでも、ISOをCD-Rに焼けるソフトは、たくさんあります。(【CDRecord
フロントエンド】など)
たとえば、市販ソフトであるB's Recorder Gold 7 では、トラックの種類というペインにISOファイルのアイコンをD&Dしてから、ツールバーの『書込み』ボタンをクリックします。
正しく焼けていれば、エクスプローラでCD-R(W)の中身を見たときに、例のbinファイルとカタログファイルが確認できるはずです。「ISOファイルがそのまま1個あった」などという場合は、焼き方を間違えています。焼き直してください。繰り返しますが、自信のない人は特にCD-RWを使いましょう。消去してやり直せるので、メディアが無駄になりません。
完成したCD-R(W)で起動できることを確認しましょう。BIOSでCDドライブをHDDよりも起動順位で優先させておくことをお忘れなく。
フロッピー版の緊急起動ディスクでは、起動テストに失敗した場合、「不適切なディスクがFDDに入っているので取り除いてください」というようなメッセージが英語で出ると思うので、失敗がはっきりします。一方、CD版の起動テストでは、CDにブート能力がない場合は単純に無視されてHDDからの通常起動になるので、テストがはたして成功したのかイマイチ疑問に感じることになります。
これを確かめるためには、テストでWindowsが起動したあとにマイコンピュータを開いてみてください。CD版緊急起動ディスクで起動した場合には、見慣れないFDドライブのアイコンがあるはずです。元々FDドライブが存在するパソコンの場合は、AとBの2つのFDドライブが存在するでしょう。
今回作ったCD版緊急起動ディスクは、フロッピーディスクをエミュレート(模倣)するタイプのブータブルCDで、ブートイメージによって作られたCDの一部がフロッピーディスクとして振る舞い、残りのデータ部分が本来のCDメディアとして振る舞います。したがって、Windowsからは、1枚のCDがFD&CDとして見えているのです。
なおXPでは別の確認方法として、あらかじめ仮想FD起動中にテキストエディタで boot.ini を編集し /noguiboot というオプションを付加しておく方法があります。緊急起動ディスクから起動した際には、Windows
XPの起動画面(通称ピロピロ)が表示されないので、そのことによって判別できるという理屈です。
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