ブータブルCD作成作業に入る前に、事前準備としてぜひ、仮想PCについて触れておきたい。
ブータブルCDを作る作業というのは試行錯誤の連続である。細かい問題点が多く、1回で何もかもうまくいくほうが珍しい。AというプログラムとBというプログラムのマルチブートCDを作ろうとしたら、Aは起動するがBは起動しないなどというエラーは日常茶飯事だ。そこで、ああでもない、こうでもないとあちこち微調整して、ようやく上手くいくという過程を通ることがほとんどだ。
だが、いちいち微調整するたびにCD-RWに焼いて起動テストをしていたら、いくら時間があっても足りない。CD-RWに焼く時間、PCを再起動する時間、失敗したCD-RWを初期化する時間。そのうえ【Bart's PE Builder】のように現実のPCで起動すると(環境によるが)数分間起動にかかるものを含めたりすると、テストする気さえ失せてくるだろう。
そこで、手軽に起動テストするために、仮想PC環境を準備することをお薦めする。
【Virtual PC】や【VM Ware】をお持ちの方は、それらを有効利用すればよい。持っていない人はフリーソフトで環境を整えよう。このページでは、手軽に導入でき、対応しているホストOSが多い【QEMU】を使った方法を説明することにする。
「QEMU on Windows」 さんのサイトに行って、QEMU本体をダウンロードしてくる。私がこのページを書いているときの最新版は qemu-0.9.0-windows.zip なので、以下の説明は、このバージョンでのものである。
zip ファイルでの配布なので、解凍して自分の好きなローカルの場所に保存しておく。特別なインストールもなく、レジストリにも関与しないので、もし不要になればフォルダごと削除すればよい。
QEMUは、コマンドラインから多彩なオプションをつけて使っていくものなので、慣れない人には使いづらい。そこで、QEMUをGUIから使えるようにするためのフロントエンドソフトである【QEmu Launcher】も入手しておこう。
Vectorの該当ページへ行ってダウンロードしてこよう。その後解凍して、好きな場所においておく。こちらもインストール作業は不要だ。
QEmuL.exeを実行し、まず初期設定をするために、下図の「設定」ツールボタンをクリック。
すると以下のダイアログが出るので、QEMU本体を置いてあるフォルダ名を上から3つの欄に入力して、OK.する。(あなたが実際に保存した場所のパスを入力する。下の図を単純に写してもダメ)
次に「エミュレータ」ツールボタンの「設定」タブで、下図のように名前欄に自分の好きな名前を入力。
「エミュレーションターゲット」ボタンの「設定」タブでは、起動ドライブをCD-ROMにしておく。メモリの数値は自分のPC環境を考えて適当に割り振る。
「ディスクイメージ」ボタンの「設定」タブで、まずCDアイコンをクリックして反転表示させてから、右下の「...」ボタンでブータブルCDイメージファイルを指定する。今回のテストでは、既製のブータブルCDイメージとして【Ultimate Boot CD】のisoファイルを指定してみた。そこまで済んだら「保存」ボタンをクリック。事前の設定はここまで。 (今後、自分でブータブルCDイメージファイルを作成して実験する時には、この欄でファイルを指定し直せば良い。)
QEmuのバージョンが0.90の場合は問題ないが、0.91の場合は、下図の(2)のボタンを押してファイルを指定したあとに、\を/に変更するか、\\とダブらせるか、どちらかの修正を必要とする。
(例)下図の場合には
D:/Downloads/ubcd411.iso
または
D:\\Downloads\\ubcd411.iso
というふうに、一部手書きで修正をする。
新しく作ったマシンをクリックして反転表示させておいて、電源ツールバーをクリック。
仮想PCの中で、【Ultimate Boot CD】が無事起動した。
なにより、ブータブルCDに限らず、仮想PCはいろいろ役に立つので、慣れてきたらOSのインストールなど、更にチャレンジしてみるとおもしろいと思う。