第16章 起動画面のカスタマイズ

bcdw.ini の詳細

前章までとは趣を変えて、この章では【Bootable CD Wizard】自体のカスタマイズのやり方を紹介していこうと思う。

今までは、bcdw.ini をテキストエディタで開いたらすぐに全消去して、必要な設定のみを記載してきた。まず消去する前のbcdw.ini を良く見てみよう。

bcdw.ini は、3つのブロックからなる。

  1. [InitOptions]
  2. [MenuItems]
  3. [MenuOptions]

このうち、2は既に説明済みだ。

1ではフォントなどの設定もできるが、日本語で使う分には関係ない。パスワードの設定も可能なので、必要な人は設定すればよい。Logo というのは、いわゆるスプラッシュウィンドウの画像を指定するものだ。アニメGIF も使える。サンプルが欲しければ、本家サイトでBCDW1.5zを入手すれば、その中に入っている。RootMenu はbcdw.ini の他に二次的な設定ファイルを用いる時に指定する項目だ。個人的には、無理して使う必要のないエリアだと思う。

3は見た目のカスタマイズを細かく設定するエリアだ。以前述べたように、行頭のセミコロンは、その行をコメントアウトする意味だ。全ての行が、あらかじめコメントアウトされているのが分かるだろう。そこで試しに、[MenuOptions] のエリアで全ての行頭のセミコロンを削除してみよう。ISO イメージを作って仮想PCで起動すると、以下のような画面になる。

BCDW カスタマイズ画面 その1

いつもより華やかになったが、一番下の[Help] 窓が空欄だ。実はここにメッセージを表示させるためには、[MenuItems]エリア内の文章で、更にセミコロンを打ち、その後に文を記述することが必要なのだ。

[MenuItems]
<コマンド> ; <メニュー名称> ; <Help欄に表示する注釈>

という風に記載するわけだ。そのようにしておくと下図のようになる。ただし、日本語は使えない。

BCDW カスタマイズ画面 修正後

あとは、位置決めをする座標の設定や、配色設定だ。カラーチャートが分かりにくいと思うが、2つの数字で、背景色/前景色 を表しており、各数字の意味は以下の通り。

数字
0
1
2
3 シアン
4
5 マゼンタ
6
7 ライトグレー
8 ダークグレー
9 ライトブルー
A ライトグリーン
B ライトシアン
C ライトレッド
D ライトマゼンタ
E
F

興味のある方は、あちこち変更して変化の様子を確かめてもらえばよいのだが、はっきり言って、どのようにカスタマイズしようと、さほど綺麗にはならないと思う。

あえて必要なものがあるとしたら、タイムアウトまでの秒数だと思う。これは、ユーザーが何も操作をしなかったときに、デフォルトの選択肢が実行されるまでの待ち時間だ。一般的に30秒くらいが無難だと思う。

ビジュアルを追求する場合は?

私は個人的には、ブータブルCDの選択メニューなどは、質実剛健、役目さえ果たしてくれればそれでOKだと考えるタイプだが、中にはビジュアルを求める人もいるだろう。また、日本語でメニューを出したいという需要も当然あるだろうと思う。フォントなどの関係で日本語は使えないので、日本語表示をしたければ画像を使うしかないだろう。

【Bootable CD Wizard】は、今まで紹介してきたとおり大変高機能だが、ビジュアル面は弱い。そこでビジュアルなブータブルCDを作成したい場合は、【CD Shell】に【Bootable CD Wizard】をモジュールとして組み込むのが、現状としてベストな選択だと思う。(第5章参照)

まず、cds2106.zip を解凍して、余計なものを削ぎ落とし、以下のような構成にする。

cds
└ boot
   ├ graphics
   │ └ ( 2 個のファイル )                                                   
   ├ modules
   │ ├ isolinux
   │ │ └ ( 2 個のファイル )                                                
   │ ├ memtest
   │ │ └ ( 1 個のファイル )                                                
   │ ├ rpm
   │ │ └ ( 1 個のファイル )                                                
   │ └ ( 12 個のファイル )                                                  
   └ ( 4 個のファイル )
        cdsh.bin,cdshell.ini,cdshw.com,loader.bin

次に、bcdw-2.0a1.zip を解凍し、cdsh\modules フォルダの中にbcdw.csm というファイルがあるので、それを上の樹形図の青字のファイルと同じ場所に入れる。csm ファイルが13個になったはずだ。

次に、私のサイトからbcdwdemo.lzh をダウンロードして、ローカルで解凍し、上記樹形図のboot フォルダに追加する。この際に、cdshell.ini を上書きして良いか確認がでると思うので許可する。以上の作業が済むと、以下のような構成になるはずだ。

cds
└ boot
   ├ bcdwdemo
   │ └ ( 7 個のファイル )back.gif,blue.gif,green.gif,red.gif,o_red.gif,bcdwdemo.cs,textmode.ini
   ├ graphics
   │ └ ( 2 個のファイル )                                                   
   │    splash.bmp,splash.csi
   ├ modules
   │ ├ isolinux
   │ │ └ ( 2 個のファイル )                                                
   │ │    isolinux.cfg,memdisk
   │ ├ memtest
   │ │ └ ( 1 個のファイル )                                                
   │ │    memtest.bin
   │ ├ rpm
   │ │ └ ( 1 個のファイル )                                                
   │ │    part.exe
   │ └ ( 13 個のファイル )                                                  
   │    basic.csm,bcdw.csm,boot.csm,cpu.csm,diskemu.csm,extend.csm,
   │    history.csm,isolinux.csm,macro.csm,memtest.csm,mouse.csm,
   │    rpm.csm,script.csm
   └ ( 4 個のファイル )                                                      
      cdsh.bin,cdshell.ini,cdshw.com,loader.bin

青字のものが追加したフォルダ・ファイル、紫色のものが書き換えたファイルだ。

ここまで完成したら、【CDRecord フロントエンド】でISO化する。Lv.4 ならば、「ファイル名に英小文字の使用を許可する」にチェックすることが必要だ。ブートイメージは、loader.bin を指定すること。

仮想PCで起動すると、下図のような画面になる。

ビジュアルな起動画面

どのような仕組みになっているかは、ぜひcdshell.ini を熟読して欲しい。これは骨格のみなので、実際のプログラム1〜4は入っていない。この挿入の仕方も、cdshell.ini を読んでもらえば判るはずだ。(厳しいことを言うようだが、ini ファイルを見てもちんぷんかんぷんな人は、ビジュアルなブータブルCDを作るには実力不足だ。) 実際に御自分で作る時は、『プログラムNo.1』などという書き方ではなく、具体的なプログラム名を描いた画像を作ればよい。

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