前章までとは趣を変えて、この章では【Bootable CD Wizard】自体のカスタマイズのやり方を紹介していこうと思う。
今までは、bcdw.ini をテキストエディタで開いたらすぐに全消去して、必要な設定のみを記載してきた。まず消去する前のbcdw.ini を良く見てみよう。
bcdw.ini は、3つのブロックからなる。
このうち、2は既に説明済みだ。
1ではフォントなどの設定もできるが、日本語で使う分には関係ない。パスワードの設定も可能なので、必要な人は設定すればよい。Logo というのは、いわゆるスプラッシュウィンドウの画像を指定するものだ。アニメGIF も使える。サンプルが欲しければ、本家サイトでBCDW1.5zを入手すれば、その中に入っている。RootMenu はbcdw.ini の他に二次的な設定ファイルを用いる時に指定する項目だ。個人的には、無理して使う必要のないエリアだと思う。
3は見た目のカスタマイズを細かく設定するエリアだ。以前述べたように、行頭のセミコロンは、その行をコメントアウトする意味だ。全ての行が、あらかじめコメントアウトされているのが分かるだろう。そこで試しに、[MenuOptions] のエリアで全ての行頭のセミコロンを削除してみよう。ISO イメージを作って仮想PCで起動すると、以下のような画面になる。
いつもより華やかになったが、一番下の[Help] 窓が空欄だ。実はここにメッセージを表示させるためには、[MenuItems]エリア内の文章で、更にセミコロンを打ち、その後に文を記述することが必要なのだ。
[MenuItems]
<コマンド> ; <メニュー名称> ; <Help欄に表示する注釈>
という風に記載するわけだ。そのようにしておくと下図のようになる。ただし、日本語は使えない。
あとは、位置決めをする座標の設定や、配色設定だ。カラーチャートが分かりにくいと思うが、2つの数字で、背景色/前景色 を表しており、各数字の意味は以下の通り。
数字 | 色 |
---|---|
0 | 黒 |
1 | 青 |
2 | 緑 |
3 | シアン |
4 | 赤 |
5 | マゼンタ |
6 | 茶 |
7 | ライトグレー |
8 | ダークグレー |
9 | ライトブルー |
A | ライトグリーン |
B | ライトシアン |
C | ライトレッド |
D | ライトマゼンタ |
E | 黄 |
F | 白 |
興味のある方は、あちこち変更して変化の様子を確かめてもらえばよいのだが、はっきり言って、どのようにカスタマイズしようと、さほど綺麗にはならないと思う。
あえて必要なものがあるとしたら、タイムアウトまでの秒数だと思う。これは、ユーザーが何も操作をしなかったときに、デフォルトの選択肢が実行されるまでの待ち時間だ。一般的に30秒くらいが無難だと思う。
私は個人的には、ブータブルCDの選択メニューなどは、質実剛健、役目さえ果たしてくれればそれでOKだと考えるタイプだが、中にはビジュアルを求める人もいるだろう。また、日本語でメニューを出したいという需要も当然あるだろうと思う。フォントなどの関係で日本語は使えないので、日本語表示をしたければ画像を使うしかないだろう。
【Bootable CD Wizard】は、今まで紹介してきたとおり大変高機能だが、ビジュアル面は弱い。そこでビジュアルなブータブルCDを作成したい場合は、【CD Shell】に【Bootable CD Wizard】をモジュールとして組み込むのが、現状としてベストな選択だと思う。(第5章参照)
まず、cds2106.zip を解凍して、余計なものを削ぎ落とし、以下のような構成にする。
cds
└ boot
├ graphics
│ └ ( 2 個のファイル )
├ modules
│ ├ isolinux
│ │ └ ( 2 個のファイル )
│ ├ memtest
│ │ └ ( 1 個のファイル )
│ ├ rpm
│ │ └ ( 1 個のファイル )
│ └ ( 12 個のファイル )
└ ( 4 個のファイル )
cdsh.bin,cdshell.ini,cdshw.com,loader.bin
次に、bcdw-2.0a1.zip を解凍し、cdsh\modules フォルダの中にbcdw.csm というファイルがあるので、それを上の樹形図の青字のファイルと同じ場所に入れる。csm ファイルが13個になったはずだ。
次に、私のサイトからbcdwdemo.lzh をダウンロードして、ローカルで解凍し、上記樹形図のboot フォルダに追加する。この際に、cdshell.ini を上書きして良いか確認がでると思うので許可する。以上の作業が済むと、以下のような構成になるはずだ。
cds └ boot ├ bcdwdemo │ └ ( 7 個のファイル ) │ back.gif,blue.gif,green.gif,red.gif,o_red.gif,bcdwdemo.cs, │ textmode.ini ├ graphics │ └ ( 2 個のファイル ) │ splash.bmp,splash.csi ├ modules │ ├ isolinux │ │ └ ( 2 個のファイル ) │ │ isolinux.cfg,memdisk │ ├ memtest │ │ └ ( 1 個のファイル ) │ │ memtest.bin │ ├ rpm │ │ └ ( 1 個のファイル ) │ │ part.exe │ └ ( 13 個のファイル ) │ basic.csm,bcdw.csm,boot.csm,cpu.csm,diskemu.csm,extend.csm, │ history.csm,isolinux.csm,macro.csm,memtest.csm,mouse.csm, │ rpm.csm,script.csm └ ( 4 個のファイル ) cdsh.bin,cdshell.ini,cdshw.com,loader.bin
青字のものが追加したフォルダ・ファイル、紫色のものが書き換えたファイルだ。
ここまで完成したら、【CDRecord フロントエンド】でISO化する。Lv.4 ならば、「ファイル名に英小文字の使用を許可する」にチェックすることが必要だ。ブートイメージは、loader.bin を指定すること。
仮想PCで起動すると、下図のような画面になる。
どのような仕組みになっているかは、ぜひcdshell.ini を熟読して欲しい。これは骨格のみなので、実際のプログラム1〜4は入っていない。この挿入の仕方も、cdshell.ini を読んでもらえば判るはずだ。(厳しいことを言うようだが、ini ファイルを見てもちんぷんかんぷんな人は、ビジュアルなブータブルCDを作るには実力不足だ。) 実際に御自分で作る時は、『プログラムNo.1』などという書き方ではなく、具体的なプログラム名を描いた画像を作ればよい。