【Bart's PE Builder】は、1枚のブータブルCDで動くWindows である。【KNOPPIX】はLinux だが、そのWin版と考えるとわかりやすいだろう。
【KNOPPIX】の場合は、前にも述べたが、1枚のCDに出来るだけ色々なアプリケーションを詰め込んだ形で配布されている。ユーザーは、そのISOファイルをCD-Rにライティングするだけで、その多機能を利用することが出来る。カレーの喩えでいえば、高級レトルトカレーだ。
一方、【Bart's PE Builder】は完成品としての配布ではなく、自分の所有するWindows XP などのインストールCDを使って、自分で作り上げていくものだ。ベースになるWindows に著作権があり、自由に再配布できないわけだから、ある意味当たり前のことだ。そのかわり、カスタマイズして、自分の好きなアプリケーションを組み込んだり、特殊な周辺機器のドライバを組み込んだりするという応用性がある。
日本でも、有志の方たちが改良を重ね、日本語環境で使いやすく高性能な【Bart's PE Builder】を作成することが可能になっている。
このコーナーでは、【Bart's PE Builder】を解説することが目的ではなく、マルチブータブルCDに【Bart's PE Builder】を組み込んでいく方法を紹介していく。
このページでは、「Explorer & IE が動くPE Builder」を題材として説明していく。
332氏のサイトに詳しい作成方法が書かれているので、そちらを読んでいただきたいが、1つだけ書いておくと、マルチブータブルCDの中に含めることが目的ならば、[Create ISO image]のチェックは、はずしておいて良い。下図の[Output]で指定したフォルダ内に作成されるフォルダやファイルを使うからだ。(ただし、【Bart's PE Builder】単独で仮想PC上で問題なく動作することをテストしたければ、ISOを作る必要がある。)
【Bart's PE Builder】のbuild が無事終わると、Output で指定したフォルダ内に、新しいフォルダ・ファイル群が構築されている。
いつもの【Bootale CD Wizard】の基本構成のxフォルダに、この構築されたフォルダ・ファイル群をコピーする。私の場合は、WinXP Pro SP2 を使ったので、以下のような構成になった。bcdwフォルダとI386 フォルダが同じ階層になるように気をつけることが重要だ。
x ├ bcdw │ └ ( 3 個のファイル ) │ bcdw.bin,bcdw.ini,loader.bin ├ Documents and settings ├ I386 ├ Programs └ ( 5 個のファイル ) autorun.inf,bootfont.bin,bootsect.bin,WIN51IP,WIN51IP.SP2
チェーンロードの対象となるブートファイルだが、上の樹形図のbootsect.bin を指定しても良い。これが第12章で述べた、No Emulation タイプのブートセクタをファイル化したものだ。しかしここでは、I386フォルダ下のsetupldr.bin を指定しておくことにする。マルチブート化する場合には、そのほうが都合が良いからだ。理由は次章で説明する。
よって、bcdw.ini は以下のようになる。
[MenuItems]
C:\ ; Boot from drive C:
\I386\setupldr.bin ; Bart's PE Builder
:PowerOff ; Power Off
ここまで準備したら、いつもどおり【CDRecord フロンのエンド】でISO ファイルを作る。ただし、ここで注意点がある。そのまま作ると、完成したPE Builder のプログラムメニューが文字化けする。332氏のページにあるように、専用のmkisofs.exe を使う必要があるのだ。そこで、【CDRecord フロントエンド】の実行ファイルが置いてあるフォルダのmkisofs.exeを退避して置いて、専用mkisofs.exe に置き換える。その後作成作業を進めれば、問題なく動作するものができるはずだ。なお【Bart's PE Builder】の場合、ISOレベルはLevel.4 必須である。